幻の蔵


冷蔵セラーに眠る、21年古酒
「鈴蘭」復活酵母酒




酒に付いた栞

栞:5種類の復活酵母の説明文

◆ 幻の蔵

NHK朝ドラ
「あまちゃん」の舞台は、
皆様もご承知の岩手県久慈市。

この地は、
今から23年前の1990年、
酒屋を開業した私が
最初に蔵見学をした
思い出の場所です。

蔵の名は、今は無き鈴蘭酒造。

1992年の春、
熱海で開かれた酒セミナーで
鈴蘭酒造の蔵元・久慈さんに
お会いし、
同じ大学出身でもあって、
お話しする中ですっかり
意気投合。

その時、
彼が力を入れて
セールスプロモーション
していた酒が、
5種類の復活酵母を使った酒と
有機米で仕込んだ純米酒
「北リアスからの風」でした。

◆ 歩く見る聞く

名も知られていない、
地方の酒を仕入れて
販売するには、
酒質はもちろん、
蔵と町の風景を見ることが
大切です。

そうすることで、
お客様に地酒の思いを
伝えることが出来るわけです。

地酒を紹介する醍醐味は、
「モノとコト」が合間って
単なるアルコール飲料から
日本の食文化の中の酒にと、
理解して頂ける事に尽きます。

その年の初夏、
当時3才の三男を連れ、
新幹線で東京、
上野駅から寝台車、
八戸からは三陸鉄道を
乗り継いで訪れました。

蔵に近い侍浜駅
(久慈駅の手間)に
降り立った時、
5月というのに残雪が…。

温暖な浜松と違い、
寒さ厳しい土地であることに
気が付きました。

そう、この寒さが酒造りに
適しているのですね。

2年後には家族で訪れ、
宿泊もさせて頂き、
家族にとって
良い思い出が
いっぱい詰まった地です。


麹蓋(こうじぶた)
鈴蘭酒造さんから
分けて頂いた麹蓋です。
塩麹の陳列台として、
使用しています。



◆ その後

日本酒をインターナショナルに
したいと言う強い思いから、
久慈さんは蔵を、
オーストラリアに移転。

残念ながら、
外国での酒造りは上手くいかず、
経営は失敗に終わりました。

そんな訳で、
久慈市を舞台にした
朝ドラ「あまちゃん」を
見ながら、いつも蔵を思い出します。

いつの日か、
幻の蔵が
復活してくれることを、
心に念じて止みません。



同じカテゴリー(地酒文化)の記事
貴醸酒とは⁉️
貴醸酒とは⁉️(2024-02-29 09:05)

未来へ繋ぐバトン
未来へ繋ぐバトン(2024-02-15 17:24)

ロックで飲む酒‼️
ロックで飲む酒‼️(2022-07-02 16:26)

あれから11年
あれから11年(2022-03-11 09:42)

この記事へのコメント
久慈出身の者です。この記事をみつけてうれしく書き込みします。
画像の鈴蘭の字をなつかしく思います。
古酒があるなんて!
私は高校を出てから首都圏にでています。
久慈に帰省すると「北リアスからの風」を飲んでいました。
また飲みたいと思った時にはなぜか手に入らず。
その時にはオーストラリアへ移転いたようです。
オーストラリアではお酒はうまくできたと思いますが、資金ぐりなのか他のことでなのか不明ですが、流通はしなかったようですね。
今では外国の方から日本酒が人気がでてきていますね。
移転時期がもう少し後だったら・・・と思わなくもないです。
オーストラリアでお酒ができましたという、ネットの記事を読んだのですが、今は探してもみつかりません。
そのお酒も飲んでみたかったですが、北リアスからの風が飲めなくなったのが悲しい。
酒蔵がなくなるのは寂しく悲しいものです。
Posted by いなっち at 2016年09月13日 09:51
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

写真一覧をみる

削除
幻の蔵
    コメント(1)